Zorki 6 + Jupiter-8 f2.0/50

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Photographed by Takeshi Fujiwara (ぱぱれもんさん)

 ソ連製のバルナックライカのコピーカメラ。KMZ , Krasnogorsky Mekhanichesky Zavod (Krasnogorsk Mechanical Plant)製。製造期間は、1959-1966。

 Zorki4に続いて、Zorki6も手に入れてしまったわけである。このZorki6にはジュピター8がついて来た。Zeiss Sonarコピーといわれる代物である。写真を決めるのはカメラではなく、レンズで、しかも Lマウントだから、Zorki6に Industarをつけてしまっても全く問題がないし、その逆でも良い。本来ならこのページはJupiter8のページにするべきなのだが、せっかくだからZorki6との組み合わせで書くことにしよう。

 ある人からのアドバイスとして、このレンズは絞り開放近くでの描写がよい、と教えてもらったので、アーケード下の商店街という暗い条件で、ISO400フィルムを使い、絞りは開き目にしてスナップを実行した。ほぼ、f2.8〜f4あたりで撃っているが、さすがに絞り開放をやる勇気はなかった。ISO100フィルムを強引に入れれば、イヤでも絞り開放で撃つことになっただろうが、私の現像の場合、ネオパンだと ISO100 も ISO400もほとんど変わりのない出来映えなので、わざわざ粒状性のために ISO100を使うということはない。私にはモノクロ現像に関してたまにこのようなジンクスがある。ちなみにもうひとつは、T-MAX400をT-MAX専用現像液で現像しても一度もうまく現像できたためしがない、ということである。これは、マイクロドールXで現像すると問題なく出来上がる。

 Zorki6、これはなかなか気まぐれなカメラだった。私は初めにカラーフィルムを入れたが、シャッターが半分しか切れていないショットがほとんどで、シャッター不良か?と思ったが、よくよくいじり回してみると、これは小刻み巻き上げで、ちゃんとシャッターチャージができていなかったわけである。このカメラには説明書がちゃんとついてきた。しかし、いつものようにロシア語である。私は悲しいことに全く理解ができない。お陰でカラーフィルム一本と現像代を損した。ちゃんとはじめにカメラ各部をいじり回して操作を確認してからフィルムを入れないとこうなる、という良い例である。

 操作系統は、かなり近代化されている。フィルムの巻き上げは、ノブではなくレバーだし、カメラの裏蓋も取り外し式ではなく、横開き式、つまり普通のカメラと同じである。しかし、この裏蓋の留め金がいい加減なので、撮影途中に開いてしまったりするのは困ったものだ。これで私はモノクロフィルムを一本損した。見た目は格好悪くても、ちゃんと皮ケースに入れて使用するべきものらしい。売るつもりがなかったら、この皮ケースの上半分をいつものようにちょんぎって使用するところだった。

 機構は Zorki4に比べるとかなり簡略化されている。まず、シャッタースピードが

1/30, 1/60, 1/125, 1/250, 1/500

 これだけしかついていない。スローシャッターは使わなくてもいいだろう、という前提である。まぁ、確かに私などのばあい、1/30秒以下は一年に数度しか使わないから、実用性を考えたら、無くても良い機構なのは確かだ。しかし、1/1000秒は欲しかった。こういう大口径レンズは絞りを開いた方が楽しいから、どうしても高速シャッターは欲しい。そうでなければ、我慢して絞るか、NDフィルタを使うか、減感現像するか、いずれにしろ不満足な選択だ。50mmクラスのレンズだったら、私は f8以上絞りたいと思わない。これはロシア製レンズはあまり絞ってもシャープにならず、線が太くなり、描写が鈍くなる気がするためだ。しかし、あくまで気がする、という程度のものである。つまり生理的にイヤなだけだ。そのかわり広角だと私は基本的に f8,f11と絞る。

 これももちろん露出計はついていない。最近露出計を必ず持ち歩いている。しかし、面倒だし、入射光露出、というのはネガフィルムに向いているとは言い難い。こういうときにはTTL露出計というのが、どれだけ有り難いものか実感する。だいたい何も考えなくても適当にネガに適正な露出を選んでくれるのである。私はいつもフルマニュアルカメラで奮闘しながら露出を予想し、それでもだいたい合っているなぁ、という程度の露出しかでていない。その証拠にネガを見ると、ものの見事に濃度が揃っておらず、たまにやたら濃いコマや薄いコマが混じっていて、これは焼くには苦労するだろうなぁ、とあまりよい気分ではない。しかしながら、フルマニュアルカメラを使い露出に苦労しているうちに、ある程度の露出感というものができてくるから有り難い。TTLに慣れきっている身には、フルマニュアルカメラというのは、借金取りの次に怖い存在であることに間違いない。露出計無しのカメラを渡されると、その場でわなわなと立ちすくみたくなる、私が実際そうだった。

 しかし、フルマニュアルカメラというものも案外良いものである。だいたい不便きわまりないが、仕事ではないのだ。最近私は写真を道楽と完全に割り切って、シャッターを押すことができるようになった。道楽というのは、時間と金を無駄遣いすることだと定義しても良いだろう。だいたい食うや食わずの人間は趣味や道楽など持っていない。その証拠に大陸の中国人を見るとよくわかる。

「仕事がおわって、帰って飯を食うこと」

彼らの頭の中はこれだけ。最近はそれでもかの地もかなり裕福になってきてしまい、趣味という概念もでてきてはいるが...。ちなみに中国の諺に

「衣食足りて女との交遊を知る」

というものがある。私はウソを言っているわけではないし語句を間違えているわけでもない。「礼節を知る」ではないところがミソで、極めて現実的な考え方をする中国人らしい発想だと思う。

 このカメラはカメラケースの裏には何の落書きもなかった。残念なことである。この落書きがないと、私は前の使用者を想像することができず、ここにストーリーを書くことができないのだ。気分が変わったら何か書くかも知れないので請うご期待、ということで。