とても適当なスナップショット講座
<露出編>
〜露出計を捨てて街に出よう〜
| 最近どうやってフルマニュアルカメラでスナップショットを撮るのだろう?というご質問をちょくちょくいただき、それはだいたい露出に関する質問なのだが、ここで一気に私がやっている方法をまとめて載せて、せめてものご参考にしていただきたいと思う。 適当に写真を撮っている私なんかが「講座」などとうんちくを垂れるのは烏滸がましい限りだが、あくまで私が適当にやっているだけの事で、きっと皆様ご自身の方法がそのうちに見つかると思う。初めての人はきっと何らかのヒントは得られると思うが、あまり期待はしないで欲しい。 とりあえず、標準系レンズを使ってのスナップショットを例に話を進めよう。 <露出編> とりあえず晴れた日の昼間にスナップをする、という条件。いきなりあまり難しいことをしない方が混乱しなくて良いから、晴れた日にスナップをすると、そういうことである。 フィルムは ISO100ネガフィルム。カラーでもモノクロでも良い。 絞りはとりあえず F5.6固定。 「絞りを変えないなんてバカじゃないだろうか?」 という御意見もあるかと思われるが、ブレッソンはほぼ F5.6でスナップをしていた、という話だ。あなたはブレッソンにバカと言えるだろうか?私は言えない。 それはまぁ、屁理屈として、いきなり絞りもシャッタースピードもゴチャゴチャ変えてスナップしようとすると絶対に頭が混乱するから、露出を制御するのはシャッタースピードだけ、という前提でやっていただきたい。慣れてきたら、そのうちに色々できるようになるはずである。しかし、とりあえず、F5.6固定。まず、簡単なことからはじめよう。昨日やっと自転車が乗れるようになった人に、いきなりナナハンに乗らせても無理だ、というのと同じだ、と考えていただければよく納得いただけると思う(ホントかな?)。 露出の制御はシャッタースピードで行う。
例:
撮影データ : f5.6 - 1/500秒
撮影データ : f5.6 - 1/125秒 とりあえずこれだけでOK。きっと信じない方もいらっしゃると思うが、これでほぼ写っているのは間違いない。これで写らなければ絞り・シャッタースピード固定の「写るんです」はことごとく写らないはずだ。この二つの露出を操作するだけで、すでに 2段階の露出制御をしている、つまり「写るんです」よりも高級だ。あなたはこの段階で「写るんです」を捨てても良い。最近のネガフィルムのラティテュードというのは偉大なのだ。 しかしここで話が終わったら、みなさん怒ってしまうだろうから、この二つの露出を使えるようになった後のもうちょっとだけ高級編も書こうかな。 ご存じの通り、世の中の露出条件は晴れ間と日陰だけでできているわけではない。晴れ間でも反射率が高い被写体の晴れ間や反射率の低い晴れ間もある。日陰でも明るめの日陰もあれば、暗い日陰もある。 そして、一番頭を悩ませるのが、晴れ間と日陰が混在している場合である。しかし、悩んでいるばかりでは写真は撮れない。そこで、
ネガのラティテュード万歳である。余裕があれば、1/125秒と1/500秒で撮っておけばよい。 これですでに3つの露出を覚えた。すでに LC-Aの露出レベルだ。ここまでマスターしたら、LOMO LC-Aから Smena 8Mに乗り換えても良い。 ここまでマスターした方は、きっと撮っていくうちにもっと色々な露出を使いたくなってくるはずだ。そこで、下の写真のように日陰でも暗いところの被写体の場合
場合によっては 1/30秒までシャッタースピードを落としても良いが、そうなると手ブレの方が心配になるから、代わりに露出を一段開いて、f4、1/60秒としても良い。 これであなたは露出アンダーの貧弱な色合いから解放される(例がモノクロばっかりで申し訳ございません)。これで4つの露出をマスターして、すでにセレン露出計並の結構なレベルだ。ここまでマスターしたら、一度あなたが撮ったネガのシートを見渡していただきたい。たぶんまだネガの濃度が濃いコマがあると思う。きっと以下の写真のようなコマは濃度が高いはず。 例:
ネガを見ると、たぶん 1/250秒では空の部分がかなり濃いと思う。こういう場合、
1/1000秒がついていなければ、f8、1/500秒でOK。 もうここまでマスターしたら、後は私が何も説明をしなくても撮っていくうちに適正な露出が予想できるようになるはず。それをマスターしてしまえば、あなたの体感露出はハイテクなカメラ内蔵 TTL露出計並だ。 後はどんどんフィルムを無駄にしながら、自分なりの露出感を身につけていっていただきたい。 余談だが、最近中古カメラ屋のいい歳したオヤジと話していて、私の持っていたZorkiをみて、 「今時そういう露出計のついていないカメラは不便でいかんなぁ」 などと曰い、露出計がないと写真が撮れないような物言いをしている始末である。こんな言葉には絶対に惑わされてはいけない。ネガフィルムを使ってスナップショットをする程度なら、露出計など必要ないどころか、持っていけば余分な荷物になりフットワークに支障がでて、さらに「露出を計る」などという手間のかかる行為で大切な一瞬を逃す可能性が大だ。とにかくネガのラティテュードを信じて、体感露出で撃てばよいと思う。 私はもちろんここまで言い切っているのだから、露出計など意地でも持ち歩かない。立派なセコニックの入射光露出計を持っているが、この半年使ったことがない。必要がないからだ。私程度の人間ができるのだから、あなたにも絶対にできる。 体感露出程度のことなど、昔はみんなやっていたことであり、高度な熟練を必要とする特殊技術でも何でもない。もちろん国家試験も必要ないし、ちょっと違ったことをやっただけで、いきなりお巡りさんが 「ピーピーッ!」 と、けたたましく出てきて反則金を取られることもない。つまり肩肘を張らなくても気楽にやれば大丈夫だよ。 露出というのはタダ単に最近になってTTL露出計というハイテクチップが制御する露出計がカメラに内蔵されて、極めて濃度の揃ったネガを作るようになり、何やら我々素人に難しそうな印象を与えているだけである。 「昔はみんな体感露出でちゃんと写真を撮っていた」 これ程心強い事実はない。たぶん私が説明したような方法で、簡単な事から初めて徐々にレベルアップしていったはず。その間にはもちろん失敗も多々あっただろう。でも諦めずに頑張っていれば、ちゃんと焼くことができる程度のネガができるようになるのは絶対に間違いない。ちゃんと焼ける程度のネガができれば、美しい適正露出のネガを作る程度のことはそんなに遠い未来の話ではない。 体感露出さえ覚えてしまえば、色々現実的にも良いことがある。 例えば、AEカメラのISO感度設定を間違える、ということは良くあることだが、こう言うときでも、 「あれ、ちょっと露出がおかしいな」 と疑うことができ、事故を未然に防ぐことができる。 また、AEカメラというのは露出はじくアルゴリズムにクセがあるので、プラス補正した方がよいときとか、マイナス補正した方が明らかに良いときがある。訳も分からずに露出補正をしても絶対にうまく行かない。基本的に自分が露出というものを理解していないと、プラス補正もマイナス補正もあったものではないのだ。 ここでお断りしないといけないが、以上の説明はネガフィルムでの場合で、決してリバーサルフィルムでの露出ではない。従って、 「お前の垂れていることはリバーサルでは間違いだ」 というご批判は一切受け付けられないので、御了承いただきたい。 ネガフィルムの露出というのは、基本的にプリントしやすい濃度のフィルムを作ることである(...と私は理解している)。 リバーサルの露出の事はそこら辺に腐るほど発行されているから、その手の本を調べていただきたい。もちろんこれらの露出さえ覚えていれば、露出関係の本を読んでも理解が早いことは言うまでもない。とにかく露出というのは非常に奥が深いので、いきなりすべてを理解しようとしても無理だと思う。いきなりプロが言っている露出をマネしようとしてもできないのは当然だろう。これは3歳の子供にいきなり難しい漢字を覚えさせようという程無茶だと思うよ。まずはひらがなから覚えて、簡単な漢字、使用頻度の高い漢字、そしてそのうちに勝手にハイレベルな漢字が自然と覚わってくる。詰まり順序だてて、一歩一歩レベルアップする。世の中の通りだと思うな。 さて、ご参考までに ISO400の場合の露出の決め方だが、素晴らしい資料があるので、これをご理解いただければ、露出計はとりあえずいらない。
いきなりこの表の通りやろうとすると混乱するから、とりあえず日中屋外の分だけ覚えれば当面困らない。また、この表では1/250秒シャッタースピード固定であるが、もちろん、絞りをF11に固定して、1/125、1/250、1/500秒とシャッタースピードを変えていく方式でも同じ事である。 またこの表が何を意味しているのかさっぱり想像がつかない人は、無理して理解する必要はない。とりあえずはいきなり欲張らずに、ISO100で鍛錬してからISO400に発展されていくのがよいと思う。その頃には間違いなくこの表の意味がすんなり理解できることだと思う。 また、いつもいつもネガを使ってフィルムをふんだんに使うのも気持がよいが、それだけでは能がない。ある程度慣れてきたら、リバーサルフィルムを使って露出感を磨くのも良いかと思う。この場合、景気良くフィルムを消費するのではなく、今度は一枚一枚じっくりと露出、構図や構成を考えて「一撃必殺」方式が楽しいかと思う。36枚撮りの(24枚撮りでもいいと思うけど)リバーサルフィルムを一本だけもって、ゆっくりと一日かけて撮りあげれば、さらなる発展があるはず。じっくり撮るときには自然と 「なぜこれを撮るのか」 とか、 「何を表現したいのか」 とか考えるから、ヒトコマに気がこもる。きっと立派な作品ができると思う。 それでは、成功を祈る。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||