FED-2 + Orion 15 28mm/f6

<- prev | next ->

 

 伝説の広角、オリオンレンズ。申し訳ないのですが、この写真ではハッキリその形状がみえないです。

 現在のレア度から言ったら、ルサール20mm/F5.6の方が上だろう。しかし、このレンズも生産台数はそれほど多くなく、ものはなかなか少ない。私にとってレアかどうか、ということはそんなに大きな問題ではなく、どちらかといえば、いくらでも手に入るレンズなんだけど、描写は良い、というものの方が有り難い。

 開放値は、なんとf6。このレンズが設計された頃は、まだ明るい広角レンズを作る技術がなかったのだろう。ちなみに、ある人が調べたところ、Zeissのトポゴンというレンズのコピーものだそうだ。もちろんオリジナルであるトポゴンなど使ったことがないから、比較などは出来ない。

 関係ないけど、ドイツレンズのネーミングにはいつも恐れ入る。たまに非常に怖いものがあり、名前を聞いただけでびっくりしてしまう。その中でも一番怖いと思ったのが、Zeissの

「フィッシュアイ・ディスタゴン」

 この名前を聞いて、レンズと思う人は少ないだろう。私など、新たなる半魚人騒動でも始まったのかと、テレビのワイドショーを録画しようかと思ったぐらいだ。

 最近のローライのズームコンパクトについているレンズなど

「バリオ・アポゴン」

もうこれはなにを想像したらよいのかさえさっぱりわからない。そういえば、以前トルコ人の友達に「アポ」という愛称を持つものがいた。バリバリの名古屋弁を話すやつで、スナックに飲みに行くのが大好き。そこで、吉幾造の演歌をうたうのが一番の楽しみ、でおねーちゃんなんかとも仲良くなっていたりして、困ったやつだった。でも顔つきは中近東特有の「オスマン」という感じの変な外人である。

 トポゴンぐらいになると、まだ可愛い。ウルトラマンにあーもすーもなく倒されてしまいそうなそんな感じだ。

 そんな名前だけは強面のドイツレンズに比べて、ソビエトレンズはそんなに怖くない。

「ユピテル(ジュピター)」:ローマ神話の神様。木星の意味もある。

「ゲリオス(ヘリオス)」:ギリシャ神話の太陽の神様。

そして「オリオン」:これもギリシャ・ローマ神話の登場人物。

「インドゥスタール」:知らない...。ちなみにウクライナ人の説明によると、

"Industar" is shortcut word "industrialisation". Industrialisation was an economic process which took place in Soviet Union in 1920-1930.

 神話から名前を戴くなどとても雅なことだ。宗教を否定していたソビエト社会主義者の作ったレンズとは思えない。なかなか粋な連中だと思う。日本のレンズももっと粋な名前をつけて欲しいといつも思っている。

ニッコール:私はDr.スランプ・アラレちゃんの「ニコちゃん大王」を連想してしまう。

タクマー:「琢磨」から来ているということを聞いたことがあるけど、私感覚としてはよく似た字で「啄木」の方が楽しいような気がする。

 さて、さて、さて、

 オリオンレンズだが、いつもの如くモノクロとカラーで撮ってみた。やっぱりこの時代のレンズはモノクロが良いな、という感じである。カラーだとイマイチ。しかし、カラーの場合は、フィルムの選択によって色合いが大きく変わってくるので、もっと色々なフィルムを試してみれば良かったと思うところである。私は普段AGFAのHDCばかりだから、このフィルムの色合いだけで、カラー云々を決めつけるのは非常に危険だ。たぶん、Kodak系のフィルムだったら、もっと違っていただろう。AGFAがダメだったら、Kodak。この順序はあながち間違っていないと思う。

 開放値 f6という、今の時代からすると強烈に暗いレンズだが、ここは ISO400フィルムなどを入れて、ガンガン絞って使いたい。レンズを見ると f6ですでに絞られている状態だが、f6でも画面の端は甘く被写体が歪んでいたりする。少なくとも f8まで絞りたいところだ。

 ソビエト製のレンジファインダー機につけると、50mmのフレームしかついていないから、上の写真のようにファインダーを別口でつけないとフレーミングは難しい。しかし、28mmとなると近場ではパララックスを考慮しないと、画面の上が切れている写真を大量に生産することになる。

 私にとって、久しぶりの広角レンズ。以前は G1+Biogonという広角ばかり使っていたが、最近は50mmばかりで広い画角にかなり戸惑った。これは広角の楽しさを再確認させてくれた逸品。しかし、資金の関係で、すでに私の手元にはない。残念なことだ。

 

 せっかくだから、FED-2の事も書いておこう。FED2はノブ巻き上げで、シャッタースピードが

B, 25, 50, 100, 200, 500

 というシャッタースピードの実用機であり (B, 30, 60, 125, 250, 500という組み合わせもある)、ファインダーはちょっと暗い。

 しかし、これは何となく古き良きソビエトカメラの雰囲気をよく感じさせる素晴らしいカメラだ。標準で付属しているインドゥスタール26mはカラーではシャドーに赤みがかかったりするが、もちろんモノクロではインドゥスタールな描写をする。KMZならZorki-4が私のお気に入りなら、FEDならFED-2というところだ。ちなみにZorki-4ほどの重さはないと思う。

 その他、基線長は長めであるため、明るいレンズでの使用も安心感が高い。この基線長というのは、ソビエトカメラではなかなか難しい。Zorki-4ではちょっと短くて心許ないし、KIEVほど長くなると、これはホールディング時に右手の指が邪魔して、ファインダーを隠してしまうのだ。FED-2はなかなかちょうど良いところについている。

 しかしながら、ソビエトカメラにおいて、レンジファインダーの正確さというのは、私は初めからあまり期待していないので、いつも適当にピントを合わせて撮っているのは確かである。つまり被写界深度に頼っているのだ。

 私の場合、カメラの機能が良いからそのカメラが好きになる、ということは全くなく、好きになったカメラの機能の範囲で写真を撮っているだけなので、 私の意見というのはあまり当てにならない。