KIEV 35a
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| ウクライナ製、KIEVブランドのコンパクト・カメラ。 もう、何も説明の必要はないと思うけど、かの有名なミノックスGTのデッドコピー。私はモノホンのミノックスを触ったことがないんだけど、物の本によるとまるっきりのクローンだそうだ。 まぁ、今更説明もないだろうけど 「本当に大丈夫だろうか?」 というカメラだ。 フィルム巻き上げは大丈夫だろうか? 沈胴はうまくしまってくれるのだろうか? 露出計はちゃんと作動してくれるのだろうか? シャッタースピードはちゃんと変化してくれるのだろうか? ピントは数字と連動しているのだろうか? 絞り羽根はノブと連動しているのだろうか? 遮光は充分だろうか? レンズにはコーティングがしてあるだろうか? 電気系統はちゃんとしているだろうか? 手に入れてから、もう心配で心配で、ホント夜も眠れないぐらいで困ってしまった。ロシア(この場合、以前のソビエト連邦の構成国を含む)製は、使う前から楽しめてしまうのだ。それで、現像してみて案外大丈夫だったりすると、嬉しいやら、ホッとするやら。いやはや、奥が深い。 でも、全部が全部大丈夫なわけではなく、かなりいい加減に作ってあるものもあり、それに当たったら最後、泣くしかない。慣れている方にとっては、言うまでもないことだと思うけど、光漏れぐらいは当然と考えないといけない。これは自分でカメラの内側にモルトを貼ったり、外側にパーマセルテープを巻いたりして対処する。今更驚くことはない。 それで、ロシア製カメラの何が楽しいのかというと、なんといっても、 安くて、面白くて、ちゃんと動く(ちゃんと写れば最高だ) それでいて、適当に不具合がある。初めから100%きちんと動くことは誰も期待していない。もしあなたが日本製のレベルをロシア製品に求めているのだったら、今すぐに考え方を改めた方がよいか、金輪際ロシア製品に手を着けないことをお勧めする。それは、あなたの精神衛生のためである。あなたがどれだけ頑張ったとしても、ロシア製品はその程度のものである。で、この程度の職業モラルの人たちがミールなんてものを作って宇宙に飛ばしたり、商業宇宙旅行とかやっているのだから、一体どうなっているだろうか。ある意味怖いが、この適当さ加減が素晴らしいと思う。 しかしながら、今回の KIEV35aはなかなか不具合が少なかった方である。露出計はちゃんとシャッタースピードと連動しているし、一応露出オーバーながら、一応AEは作動しているみたいだし。光線漏れもないようだし。アタリなのかも知れない。でも、やっぱりコーティングは弱く、逆光は期待するのは間違いである。 カメラの機能としてはちょっと関係ないのだが、ロシア製カメラというのは、パッケージを開けたら、必ず匂いがする。ルビテル、LOMO LC-A、FEDしかり、どれも個性的な匂いがして、それはたぶん機械の匂いだと思うのだが、それほど不快なモノではなく、それがちょっとの間楽しめる。しかしながら、このKIEV35aは臭かった、どのように臭いのかというと、 「一週間履きっぱなしの靴下と一緒に保管しておいたのではないか」 もしくは、 「さっきウンコしにいって、心ならず手にモノがついてしまって、それをきちんと処理せずにそのままこのカメラを触ったのではないか」 というぐらい臭いのだから、たまったモノではない。カメラを構える度にこの匂いをかがされていて、とても機械の香りを楽しむなどと言う優雅なモノではない。私はいち早くこの匂いから解放されるため、また消毒のために、オキシドールで表面を拭きあげた。 そんなことはどっちでもいいのだが。もうちょっと役に立つ情報を書こう。さてこのカメラだが、1/500を越えるシャッタースピードの場合、シャッターは切れたような音がしているが、実際は切れていない。その場合、コマ飛ばしが起こりる(一般的に駒落ちって言うのだろうか)。1/250を上回るシャッタースピードが表示された場合、気をつけた方がよい。晴れた日の日中ならISO100フィルムが適切だろう。 ちなみにこういう怪しいカメラを買ったら、初めてのフィルムは、絶対に一段ずつ段階露出を切った方がよい。もちろん露出のクセを見極めるのなら、リバーサルの方が確実だが、モノクロに慣れていてデータが揃っているのなら、モノクロでも大丈夫だ。 まぁ、似たようなカメラとして、LOMO LC-Aと比べてしまうが、カメラの使い方を知っている人なら、KIEV35aの方が使いやすい気がする。どちらも同じピント目測カメラだが、KIEVのほうは被写界深度目盛がついており、どの範囲にピンが来てくれるか容易に把握することができるため、被写界深度を利用したピント合わせが楽だ。ピント目測カメラだったら、是非こうありたい、と思う。LC-Aの場合、シャッタースピード、絞り共にオートなのでピントはかなりシビアだ。しかも、すぐに絞り開放に持って行きたがる傾向があり、被写界深度は往々にして薄い。やっぱり被写界深度目盛は有り難いね。 しかし、シャッターの感触はLOMOの方がパチーンと小気味よく、良い感触だ。しかし、KIEV35aの虫が鳴くような頼りないシャッターは、かえって反動が少なくてブレにくいのは確かだろう。でも本当にKIEV-35のシャッターは心配だし実際もろい。 描写の特徴として、とかくフラットな描写の LOMO LC-Aに比べて、このレンズは思ったより立体感が出る。しかし、ハイライトの描写は弱い。またソビエトカメラの特徴のような気がするのだが、プラスチックなどの人工物の描写はかなりすぐれているような気がしる。しかしその反面、葉とか花とか、自然のモノを撮るとどうもイマイチその素性を描写してくれないような気がする。まぁ、カールツァイスがどうのとか、ライカがどうの、とか言うレベルの話ではないのは確かなことだから、今更このあたりの突っ込みはご遠慮していただこう。意外なところでは、中国製の鳳凰についているレンズがなかなかよい。 従って、KIEV35aが軽くて、持ち歩きに便利だとしても、間違っても山歩きに連れていこうなどと言うことを考えない方がよいだろう。山歩きならコンタックスT-2かT-VSって感じだな。私は山歩きをしないのだが、私の先生は実際そうしている。個人的な意見だが、T-プルーフは、山よりも海の方が描写として似合うと思いる(しかも防水だし...)。 絞りは f2.8〜f16までだが、私の使ってみた感触から言わせていただくと、f5.6、f8あたりでもっともシャープに写り、f11,f16はかえって鈍くなる。これは結構顕著に表れる。ルビテルレンズのようにとにかく絞れ、というものではないのは確かだ。本物のミノックスもあまり絞るとざらついた感じの写真になる、という話も聞いたことがある。 ちなみにKIEVにはストラップもつけることができない。これはかなり不便だといっても良いだろう。しかし変に工夫してストラップをつけようとしたら、壊してしまった、などという結果になってもいけないので、ストラップ無しで過ごしている。 ここでこのKIEV-35Aにストラップをつけようとすると、どうしても三脚穴にねじ込むタイプのストラップをつけるしかない。しかし、これは絶対にやめておいた方がよい。このネジ穴回りに巻き上げ関係のギアが詰まっており、ここにちょっとでも負担をかけると巻き上げに支障を来す。本家のミノックスでさえも専用三脚を使う方がよい、という話を聞いたことがあるので、やっぱり機構には無理があったのかも知れない。悪い部分もそのままコピーしてしまったようだ。 このあたりが非常に興味深い。日本人ならただコピーするのではなく、一応研究して改良を加えて本家よりも優れたものを作るに違いない。しかし、ソビエトの連中に改良という作業をさせると、さらにとんでもないものが出来上がるので、ただのコピーが一番無難なのは確かだ。美しいバルナックライカがFEDの連中によってソビエト化されて、最後にはFED-5という全く違ったものになってしまったのだから、これは今更何も言うことはないだろう。 10年ほど前にソビエトが潰れて、現在ロシアも資本主義をコピーしているが、このシステムも彼らの手に任せていると、一体どんなものに変化していくのかかなり興味深い。彼らの改良というのはだいたいパターンがあって、軽くて小回りが利くものを、重く取り回しが効かないものに変えていってしまう、という特徴がある。私が生きているうちにロシア式資本主義の変化を見ることができたら本当に嬉しいけどね。 詳しいスペックを書きたいのだが、何といっても、取扱説明書がロシア語で書いてあるので、キリル文字を全く理解できない私には、さっぱり分からないが、適当に見繕って書いておこう。 レンズ: Kiev Korsar f2.8/35mm ピント目測、絞り優先AE、 PX-27 5.6V 水銀電池使用(推奨...水銀電池なんてイマドキないよ、LR44 x 4で使ってもとりあえず問題はないと思う) ISO25〜800対応(もちろんDXコード対応ではない) 最短撮影距離:1m Made in Ukraine シャッタースピード:1/30〜1/500 ストロボ同調速度:不明
何といっても沈胴式はコンパクト。持ち運びにも便利。 |