Angenieux Retrofocus 35mm
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| カメラやレンズというのは製造国がだいたい決まっている。ドイツ、日本、まぁ、ロシアも入れてこの3つで世界の大部分のカメラを語ることができると思う。最近は中国っていうのもあるが、フランス製のレンズというともう、珍しいといってしまってもよいんではないかな。でもアンジェニューは有名ではある。 アンジェニューのレンズをエキザクタにつけて、私のコンテンツにふさわしいものかどうか、しばし考え込んでしまった。何といっても、これぞクラッシック一眼レフ、という堂々とした風格だ。何といっても格好いい、どころか、格好良すぎるんじゃなかろうか。 私はあまり一眼レフというものが好きではない。何といっても実用一点張りだし、あの屋根がどうにもスマートでない。実は一眼レフでのピント合わせもヘタだというせいもある。しかし、このエキザクタは一眼レフといってもやたら格好いい。私が知っている一眼レフで一番格好いいのではないだろうか。決めつけてはいけないが、世界で一番美しい一眼レフカメラ、と私は自分の世界で定義してしまおう。 その反対といっては何だが、私の決めつける世界で一番格好悪い一眼レフは、もう、これは何といっても「ペンタックス67」で決まり、これ以上格好悪い一眼レフを私は知らない。だって、どう見たってあれは三角屋根のついた「家」そのもの。不動産屋で売っているものかと思ったぐらいだ。でも、ちょっとここで誤解していただきたくないのは、私はペンタックス67に恨みはない。性能云々と言うことも知らない。ただ単に、私の感覚では格好悪い、とそういうことである。 やっぱりクラッシックは美しい。こういうものに男は惹かれるんだろうなぁ、としみじみ思う。女性はこういうものに惹かれるのだろうか?私は男だから知らない。 さてクラッシックカメラ、というのがなぜ美しく、優雅な雰囲気を漂わせているのか、というと、もうこれは完全に実用性に乏しいから、という理由でしかない。これを私は第一の条件に挙げたい。現行製品の操作性を基準にこういうものを使うと、気が遠くなるほど面倒臭かったり、手間がかかったり、失敗が多かったりする。それでもなぜ使うか、というと、完全に道楽だから、これ以外に理由が見あたらない。 巷の熱狂的なクラッシックカメラ・ファンで、 「クラッシック・レンズは現代レンズよりよく写る」 と主張してはばからない方もいらっしゃるが、私は決してそうは思わないな。どう考えたって、現代レンズの方がよく写ると思うよ。写りは好みの問題もあるけど、シャープさやら、逆光の強さやら、歪みの有無など諸々の条件を考えたら、絶対に現代レンズの方が優れていると思う。そうでなければ、光学機器のメーカーの方達は、この50年間一体何の努力をしてきたのか、という話になってしまう。 まぁ、こういう優雅なカメラを使うなら、実用性とか操作性とか、そういうコセコセとした事を考えたら、そこですでにカメラに負けている。そういうことを求める方は、現行製品を使うことを心からお勧めする。 このエキザクタ、まず左巻き上げ、左シャッターからして右利きの人間には不便きわまりない。私が左巻き上げで許せるのはローライ35ぐらいのものだ。ローライ35だって、シャッターボタンは右に付いている。 「どうしてスーパーイコンタにしろ、ローライにしろ、ドイツカメラには左巻き上げやら、左シャッターやらが多いんだろうか、ちょっと不思議だな、ヒトラーが決めたのかなぁ」 と考え、操作感の違いに戸惑いながら、何とか使う、というのが優雅なカメラ道楽生活。 巻き上げも、強く巻き上げるとパフォーレーションをガリガリ削ってしまうので、恐る恐る、そぉーっと、ゆっくり丁寧に巻き上げるのが、優雅なカメラ道楽。 こういうカメラには必ずモノクロフィルムをいれて、自分で現像するのも、優雅な写真道楽。 現像に失敗したりして、悔しい思いをするのは、これはクラッシック・カメラのせいでも何でもないけど、これも一種の道楽。 こんな事をして、何か意義があるのだろうか?と言われてしまえば、 「苦労ばっかりして、何の意味もない」 という以外の答えは考えつかない。でも、何も意味がないところが、道楽なのだろう。 だいたい、世の中の「クラッシック何とか」と言われるものは、概して大して意味のないことが多い。例えばクラッシックカー。あんなまともに走っているのが不思議なくらいなものを、苦労して乗っているんだよな。維持費も相当なものだろうと思うよ。どう考えたって、通勤用の車にはならないよな。でも、私は端から見ていると、楽しそうだなぁ、と思うな。残念ながら、クラッシックカーを養うほどの経済的な余裕がないのが実状だから、私は何ともならないけど。 つまり、クラッシック・カメラを現代カメラと同じ感覚で使ったり、同じような操作性を求めるのは、そもそも根本的に間違っているわけで、クラッシック・カメラは一つの違ったジャンルである、という認識を持たないと、苦痛ばっかりで何もいいことはないだろう。 こう書いてしまうと、私はクラッシック・カメラ一辺倒か、と思われてしまう恐れがあるが、私は絶対に写っていて欲しいときには、コンタックスG-2を使う。これだと、まず失敗がない。逆光にも強い。まさにいいことづくめ。失敗が許されないときには、絶対に現代カメラを使うべきである。 さて、年寄りの講釈はどっちでもいいんだけど、フランス製ですよ、このレンズ。何が違うのでしょうか、って言われてもとても難しいんだけれども、やっぱりモノクロで撮るとフランス映画っぽいんだな。どういうのがフランス映画っぽいのか、と言われると困ってしまうが、敢えて言わせてもらうと、黒が潰れ気味で素晴らしい雰囲気なのである。黒が潰れ気味、というレンズを私は今まで使った覚えがない。一般的に黒が潰れるのは悪いレンズみたいだけど、私はこのレンズの黒の潰れ方はとても雰囲気があって良いかと思うな。 こう言うと、アンジェニューのレンズは黒が潰れたりしないぞ!とお叱りをいただくかも知れないけど、私が4〜5本モノクロフィルムを現像したらそうなった、というわけで、実際のところこれがこのレンズの特徴なのかどうか、それは私も何とも言えない。もう、2〜30本撮れば、またハッキリしたことも言えるかも知れない。 さてさて、やっぱり古いレンズなので、それなりに使いにくい。だいたい35mmという焦点距離のレンズの割には鏡胴が長い。初め見たとき85mmかと思ったぐらいだ。何でこのレンズはわざわざレトロフォーカスという設計になっているのかなぁ、一眼レフでもないのに、、、と思ったが、よく考えたら間違いなくこれは一眼レフのレンズなのである。レトロフォーカスのせいかどうか知らないけど、35mmの割には被写界深度浅いんじゃないかなぁ。F4程度だとかなり真面目にピント合わせをしないと、結構ピントを外してしまう。開放のf2.5で撮ろうと思ったら、これは大変シビアなピント合わせが必要になってしまう。しかも、一眼レフだから、レンジファインダーみたいに簡単にピント合わせができない。困ったものだ。 このレンズとエキザクタの組み合わせだと、人物スナップショットが非常に撮りにくい。だいたいエキザクタが格好いいから目だちすぎるのが一番の問題で、しかもピント合わせもちんたらやっているから、スピードスナップどころではないんだな。これは努力と慣れによって克服できるのだろうか、もうちょっと様子を見たいところである。 私は別にフランスに特に憧れたりしないんだけど、って言ってしまうけど、だって、今時フランスに強烈に憧れているなんて言ったら、まぁこれは間違いなく田舎モノと思われてしまって恥ずかしいよな。そうそう、どこかのライカ本に「身も心もフランス製レンズに捧げる」なんて人が紹介されていたけど、その記事見て笑ってしまった。その身も心もフランス製レンズに捧げている人の顔写真が載っていたんだけど、どう見たって、あんたの顔はフランスどころじゃなくて「昆虫」だよ。あーぁ、こういう人がフランス製レンズを好んで使うのかぁ、実にイヤだなぁ、と自分の顔を棚に上げて勝手なことを言っていて済みません。 でもやっぱりパリに行って写真撮りたいな、と思ったりするな。えーと、KLMオランダ航空で行くヨーロッパ往復航空券が今の時期 70000円かぁ、、、ロシアに行くよりも安いよなぁ。 何だかんだいっても、ライカ系統とも違うモノクロが写るこのレンズは、かなり素晴らしいと思います。 <- prev | next -> |