Agat 18K
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| ベラルーシ、ミンスク、BelOMO製、恐らく世界最強のレンズ(Industar
f2,8/28mm)を積んだハーフサイズカメラ。そのかわり、カメラボディは写るんです並のチープさ。涙が出てきそうだ。 Agat、英語だと Agate:瑪瑙(めのう)である。私はこの意味をインダスターレンズを表すものと受け取った。インダスターは、私もすでに何本も持っているが、立体感の描写にすぐれた素晴らしいレンズだ。インダスターレンズについては、LOMO135とZorki4にいい加減なことを詳しく書いてあるから、そちらの方もぜひ参照していただきたい。 そして恐らく、Agat18Kはハーフサイズ・カメラの中では最高のレンズを積んだ贅沢なカメラである。ソビエト帝國によるハーフカメラ世界制覇の目論見を感じずにはいられない。恐らくフルシチョフが書記長をやっていた頃にソビエト共産党直々の号令で作られたのだろう、というのは私の勝手な想像である。 ちなみに BelOMOはほかにもハーフサイズカメラを作っていたみたいで、有名どころでは Chaika, Siluhouette Rapid Autoがあり、その二つともインダスターレンズを搭載している。ちなみに写真を見る限り、Agatほどチープではない。この二つもぜひとも手に入れたいアイテムである。 しかしながら、私は最近の恒例行事となった、アシスタント・レディが送ってきた小包からこのカメラを出したとたん(ちなみにこの瞬間は、いつもビックリ箱を開けるような気分だ)、これも恒例となった新鮮な驚きでいっぱいになった。なんといっても、情けなくなるほど軽い。こんなに軽いカメラは Holga以来である。ロシア語の説明書からそれらしき項目を見てみると、重さは何と130グラム。大きさに至ってはタバコの箱とほぼ同じ。私はみんながよくやっているような首からカメラを提げるのは非常に首が凝るので大嫌いなのだが、このカメラの重量なら首に下げて一日歩き回っても全く苦にならなかった。素晴らしいことである。 私はこの間まで、シルエット・エレクトロがとんでもないインチキカメラだと思っていた。しかし、私はそんなことをいってシルエット・エレクトロを売りつけてしまったことを非常に後悔している。こっちの方がとんでもないカメラに違いないからだ。ほぼフルプラスチックなのは当然だとしても、フィルム圧板とフラッシュ接点に辛うじて金属が使われているのみ、だけど、こんなカメラにフラッシュ接点やら、フィルム圧板までつけたものだ、とさらに感心する。ホルガにはフィルム圧板なんてついていないんだよな。 何かに似ている、と思ったこのカメラ、このチープさは、以前 300円ほどで売っていた110フィルム使用のスパイカメラ。カメラボディはあの程度である、と説明すると一番よく理解していただけると思う。あの程度もんに、ソビエト帝國がその名を天下に轟かせたインダスターをつけてしまった。これ程マニア心をくすぐられるものはない。ロシアもんで一番肝心な点は、 いかにも写らないようで、ちゃんと写る。しかしそれでいて、ちょくちょく写らなかったりする。 この微妙なバランスが大事なのである。 ちゃんと写るカメラだったら、日本製を買えばよい。ちなみに私はロシア製の一眼レフは全く買う気が起こらない。いかにもちゃんと写りそうだからである。そういうカメラで、不具合があったりしたら、ハッキリ言って腹が立つ。つまり、微妙なバランスを外観から放棄している。私としては許せない領域だ。やっぱり一眼レフは日本製に限る。 ちなみに私にとって、ハーフカメラはオリンパスペン以来だ。私は迂闊にもこのカメラに36枚撮りフィルムをいれてしまい、いきなりフィルム無限地獄に陥ってしまった。自動巻き上げならいざ知らず、手巻き上げで72枚というのはそうそう簡単に終わってくれない。だから、ペンの時のように何も考えずに撮りまくる。こうなると写真を撮りたいのか、フィルムを早く終わらせたいだけなのか、自分でもよくわからなくなってきてしまう。あまり良くない傾向だ。ぜひとも欲張らずに24枚撮りフィルムぐらいを入れて、精神的な余裕を持って楽しみたいものだ。 このカメラはもちろん、ピント目測式。レンジファインダーだったら腰を抜かすところだった。何に使うかは、いうまでもなくスナップショット。28mmレンズがついているから、とはいってもハーフサイズだから広角にはならない。恐らく35mmカメラに換算して、40mm程度ではないだろうか。でも、28mmは28mmだから被写界深度が深い。f8程まで絞ることができる条件だったら、3〜4m程度に距離指標を合わせて、ひたすら撃つだけ。あまりピント合わせのことを考えなくても良い。便利だ。 しかし、こういうチープなカメラがちゃんと写ったりして、ハーフカメラの東の雄:オリンパスペンよりもきれいな描写だったりすると、私は心の底から万歳三唱したくなる。至福のひとときである。これを実体験してしまったら、あなたももうパチモンカメラから抜け出すことは難しい。自分の部屋から電子カメラをすべて追い出し、各メーカーの新製品など全く興味が行かなくなる。メインカメラはもちろん不思議なパチモンカメラ、セカンドカメラにしょうがないからよく写る日本製のコンパクトカメラなどを無造作にカバンに入れて、ほとんど取り出すことはなく、一ヶ月経っても現像に出せないでいる。キワモノでも、ロモ、ルビテル、Holgaなどが人気が出てきてしまうと、もう全然面白くなくなってしまい、さらなる変なものを探し回ることになる。その誰も持っていない変なものを苦労して探し当てて、描写は強烈に面白い、と知らないでいいことまで知ってしまうと、自分の生活はパチモンカメラを中心に回っていく事になり、これは病気の一種と断定してしまって全く問題ないだろう。 こんなページにやってきて、私のコメントなど読んでいるあなたにも、きっとそんな日が来るに違いない、と私は期待しています。 <データ> ピント目測式、フルマニュアル、ハーフサイズカメラ。ベラルーシ、BelOMO製。 フレーム:18 x 24 |